みんな、接遇って知ってるかい? いわゆる、企業で必要な挨拶の仕方のセミナーなんだけど、俺の仕事なんかほとんど当てはまらないのに、年に一度講習やらされるんだよ。 で、ラブ子って先生がいて、ラブ子の笑顔がすごいんだ。顔の皮膚をパリッと割ると、どろどろの情念が渦巻いていそうな作り笑顔、あれだけは真似出来ないっていつも思ってるんだけど、最近思い出してしまったね、不動産屋の落ち着き払った笑顔で。

「この値段でこの広さは他にないですよ」そう言われて、一瞬そうかと思ってしまうのだが、なんで収納があんな高いとこにあるのか。。俺もそれは言わずに、「うーん、いい部屋ですねー」と、負けじと作り笑顔で応える。
違う物件では、「楽器相談と書いてあったのですが、僕はギターを弾くのですが。。」と、おそるおそる訊いてみると、万遍の笑みを浮かべていた不動産屋の目がみるみる笑わなくなり、「。。エレピでヘッドフォンして弾いていただく程度であれば、構わないのですが」と言われ、後で電話で「元々我々の値段設定が間違っていまして、6万2千円でなく、6万9千円でした。それとお問い合わせいただいていた駐車場も、使えないとのことです。。」ギター弾くって言っただけでこれだ。昭和のままの日本。

いままで何度もアパートを借りてきて、どうして不動産屋というのは同じ顔つきなんだろうと感じてた時に、笑わない若いやつに出会った。口数少なく、「完璧なお部屋というのはないんですよ」とか、たんたんと、的確にものを言う。俺はなんだか気に入ってしまって、彼にお願いしようと思って、いろいろ探してもらったところ、ギターを弾くと言ったおかげで遠まわしに断られた部屋を出してきたのだ。そこが一番暮らしやすそうだと感じていたので、大家さんにも会って、改めて「うーん、広い。暮らしやすそうだ」などと口走り、音は響くか、下の人はどんな人か、などと訊いている自分がもどかしくなって、「正直に申しますと、僕はギターを弾くんです。でもライブハウスで弾くみたいに大きな音では決して弾きません。テレビの音くらいの大きさでしか弾きませんので、住まわせていただけないでしょうか?」と、大家さんにはっきり言ったところ、「あーテレビくらいだったら全然いいよ。構わない」と言ってくれて、一気に契約まで持ち込んだ。おまけに、最初の月の家賃は半分でいいよ!って、
んーいかすぜ大家!ついでにざまーみろ!疑り深い昭和のままの不動産屋!

ってなわけで、越すよ。 天井裏のハックともお別れだ。 いくら俺が動物好きでも、顔の見えないやつとは一緒に暮らせない。 すっかり世話になったな、実家。  あばよー

                                         M

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